香りは、記憶を連れてくる。
- ZENBEE

- 8月5日
- 読了時間: 2分
季節の変わり目になると、
ふと足を止めたくなることがあります。
どこからか花の香りがしたり、
雨上がりの土の匂いが風に乗ってきたり。
景色よりも先に、
香りが季節を知らせてくれることがあります。
不思議なことに、
香りは記憶とよく結びついています。
どこか懐かしい匂いに出会うと、
昔の出来事を思い出すことがあります。
祖父母の家。
夏祭りの夜。
焚き火の煙。
理由は説明できなくても、
そのときの空気まで思い出せることがあります。
食卓にも、
たくさんの香りがあります。
炊きたてのご飯。
出汁の湯気。
焼きたてのパン。
料理は味だけでなく、
香りも一緒に楽しんでいるのだと気づかされます。
だからこそ、
食事はお腹を満たすだけでなく、
心に残る時間にもなるのでしょう。
ニホンミツバチは、
花の香りを頼りに飛び立ちます。
季節によって咲く花が変われば、
出会う香りも変わります。
その積み重ねが、
その年だけの蜂蜜の個性につながっていきます。
目には見えませんが、
自然の香りもまた、
一滴の中に静かに重なっています。
忙しい日は、
香りに気づく余裕がなくなることがあります。
けれど、
窓を開けて深く息を吸うだけでも、
季節は少し違って感じられます。
朝の空気。
木々の匂い。
雨のあとに残る湿った土の香り。
いつもそこにあるものが、
その日の景色を少し豊かにしてくれます。
香りは、
形として残るものではありません。
けれど、
心には長く残ることがあります。
だからこそ、
暮らしの中で出会う香りを、
少しだけ意識してみたくなります。
今日という一日も、
いつか思い出す景色になるかもしれません。
その記憶のそばには、
きっとひとつの香りが寄り添っているのでしょう。

