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贈りものを選ぶ時間。

9月8日
読了時間: 2分

誰かの顔を思い浮かべながら、ものを選んだのはいつだったでしょう。


誰かに贈りものをするとき、

思っていたより時間がかかることがあります。


何が好きだっただろう。

最近、どんな話をしていただろう。

これは喜んでくれるだろうか。



お店を歩きながら、

あるいは画面を眺めながら、

いつの間にかその人のことを考えています。


自分のものを選ぶときとは、

少し違います。


自分なら選ばない色でも、

あの人には似合うかもしれない。


自分では買わないものでも、

あの人なら楽しんでくれるかもしれない。


贈りものを選ぶ時間には、

自然と相手のことを想像する時間が生まれます。


もしかすると、

贈りものの一部は、

渡す前から始まっているのかもしれません。




日本では昔から、

季節の節目にものを贈る習慣があります。


お中元やお歳暮だけではなく、

旅先から持ち帰る小さなお土産や、

旬の果物のおすそ分けもそうです。



「これを食べてもらいたい」

「きっと好きだと思った」

そんな短い言葉とともに、


ものが人から人へ渡っていきます。



そこには、

品物だけではない何かも一緒に添えられているように感じます。


少し不思議なのは、

記憶に残っている贈りものが、


必ずしも高価なものとは限らないことです。


旅行先でもらった小さなお菓子。

庭で採れた野菜。

一枚の手紙。



何年も経ってから思い出すのは、

「何をもらったか」よりも、

「誰が、どんな気持ちで選んでくれたか」だったりします。


蜂蜜を瓶に詰めているときにも、

その先にいる人のことを考えることがあります。


どんな食卓で開けられるのだろう。

誰かと一緒に味わうのだろうか。


それとも、

一人でゆっくり楽しむのだろうか。


つくり手には、

その先の景色までは分かりません。



だからこそ、

ひとつのものが誰かの手に渡り、


その人の暮らしの一部になっていくことは、

とても嬉しいことです。


贈りものを渡す時間は、

ほんの数分かもしれません。



けれど、

その前には相手を想う時間があり、

そのあとには使ったり、味わったりする時間があります。


そう考えると、

贈りものとは品物そのものではなく、

人と人との間に生まれる時間なのかもしれません。



次に誰かへ何かを贈るとき、

選んでいる時間も少し楽しんでみたいと思います。


 
 
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