
贈りものを選ぶ時間。
誰かの顔を思い浮かべながら、ものを選んだのはいつだったでしょう。
誰かに贈りものをするとき、
思っていたより時間がかかることがあります。
何が好きだっただろう。
最近、どんな話をしていただろう。
これは喜んでくれるだろうか。
お店を歩きながら、
あるいは画面を眺めながら、
いつの間にかその人のことを考えています。
自分のものを選ぶときとは、
少し違います。
自分なら選ばない色でも、
あの人には似合うかもしれない。
自分では買わないものでも、
あの人なら楽しんでくれるかもしれない。
贈りものを選ぶ時間には、
自然と相手のことを想像する時間が生まれます。
もしかすると、
贈りものの一部は、
渡す前から始まっているのかもしれません。
日本では昔から、
季節の節目にものを贈る習慣があります。
お中元やお歳暮だけではなく、
旅先から持ち帰る小さなお土産や、
旬の果物のおすそ分けもそうです。
「これを食べてもらいたい」
「きっと好きだと思った」
そんな短い言葉とともに、
ものが人から人へ渡っていきます。
そこには、
品物だけではない何かも一緒に添えられているように感じます。
少し不思議なのは、
記憶に残っている贈りものが、
必ずしも高価なものとは限らないことです。
旅行先でもらった小さなお菓子。
庭で採れた野菜。
一枚の手紙。
何年も経ってから思い出すのは、
「何をもらったか」よりも、
「誰が、どんな気持ちで選んでくれたか」だったりします。
蜂蜜を瓶に詰めているときにも、
その先にいる人のことを考えることがあります。
どんな食卓で開けられるのだろう。
誰かと一緒に味わうのだろうか。
それとも、
一人でゆっくり楽しむのだろうか。
つくり手には、
その先の景色までは分かりません。
だからこそ、
ひとつのものが誰かの手に渡り、
その人の暮らしの一部になっていくことは、
とても嬉しいことです。
贈りものを渡す時間は、
ほんの数分かもしれません。
けれど、
その前には相手を想う時間があり、
そのあとには使ったり、味わったりする時間があります。
そう考えると、
贈りものとは品物そのものではなく、
人と人との間に生まれる時間なのかもしれません。
次に誰かへ何かを贈るとき、
選んでいる時間も少し楽しんでみたいと思います。



